• Georg Simon Ohm 's 1827 paper

    ”ボルタの電気回路”    -9、10/40
    The Voltaic Circuit

    9.電気の現象を観測するその物体は、ほとんどの場合、大気に囲まれている。


    それ故に、その全過程を深く研究するためには、
    隣接する空気により生み出されるかもしれない変化を無視しないことが不可欠である。

     

    周囲の大気中の電気の拡散に関して、クーロンが残した実験によると、
    例えば、生じた力の損失は、
    その強さが大して変わらないとき、
    少なくとも(極短時間の間)、一方では、電気のエネルギーに比例し
    またその一方で、空気の同時発生的な性質により、変化している係数とは独立している。

    だが、同じ空気に対しては不変である。


    これに関する知識は、それを必要とする所ならどこででも、
    計算でボルタの現象における大気の影響を導くことを可能にする。


    しかしながら、
    クーロンの実験は、既に平衡状態にある電気について行われたのであり、
    もはや励起の過程の最中ではなかったという
    ここを見落としてはならない。


    はばかりながら、観測と計算の両方が、
    それが物体の表面に限定され(閉じ込められ)、
    さもなくば、それらの内部にほんのわずかな深さだけ貫通するにすぎない
    ということを確信させた。


    つまり、そこから、この問題に関するいくつかの重要な結果が導かれる。


    即ち、全ての電気がそれらの実験で表れるということは、
    転移については、大気に直接影響されてきたということかもしれない。

     

    もし今、この観測をちょうど述べた法則と関連づけるならば、
    互いにある有限の距離に置かれた2つの素子は
    もう、互いに何か直接的な作用を及ぼすことは無い、ということに従い、
    電気が、有限な物体の全質量にわたり一様に拡散されるということを
    結論づけるに至るのである。


    さもなくば、少なくとも比例してはいるが、少量が表面付近にあり、
    それが運動状態になるとき、一般的にその場合が生じる。


    周囲の空気により発生させられる損失は、
    全ての力(エネルギー)が表面に直ちに配置されるときに生じるそれに比べて、
    極端に小さい。


    つまり、それが平衡状態になるとき、それは一定不変となる。


    そこから、結果として、
    閉じた回路が良い伝導体で作られているとき、
    大気が、閉じた回路内のボルタの現象では、気がつかない程度の影響しか及ぼさない、
    ということになる。

    それゆえに、
    接触電気の現象において、大気の存在により発生した変化は
    そのような場合、無視することができる。

     

    さらに、この結論にはその環境から新たな援護がある。

    即ち、同じ場合において、
    接触電気は極短時間の間、伝導体の中にとどまるに過ぎず、
    たとえそれ(接触電気)がそれ(空気)と直接接触していたとしても、
    空気へはほんのわずかな部分を渡すだけだろう。


    けれども、これまで述べてきたことから、
    通常のボルタの回路の効果の大きさに関して、大気の作用の影響力は感知不可能である、
    ということが、何の疑いもなく認められる。


    それは、この結論の逆を認めようとしているのではない。


    即ち、ボルタの伝導体は、大気の電気的な状態に感知可能な影響力を及ぼすことはないのである。


    というのは、
    数学的な研究が次のことを教えてくれるからである。


    それは、
    一方の物体の検電作用は、それから他方へ運ばれる電気の量と直接の関係がない、
    というものである。



    10.ついに、実験で発見されたその見解に達する。

    そして、それが、ボルタの・・・と名前を適用する現象全ての基本を形成するので、
    それは自然哲学全体に対して最高の重要性をもつのである。

    それは次のように表現されるだろう。
    互いに接触している異なった物体は、
    それらの性質から生じる矛盾(不一致)により、
    検電力間の同じ差を接触場所で常に保っているので、
    習慣的に電圧または物体の相違という表現で表わす。

    以上述べたことから、
    この見解は、その単純さを少しも失うことなく、
    それに合ったあらゆる一般性に代わるものである。

    というのは、大概、あらゆる単純な現象をそれに当てはめるからである。

    さらに、以上の表現は、明白に、さもなくば暗黙の内に、
    ボルタの電池の検電現象を説明するとき、
    全ての哲学者により、あらゆる一般性という点で採用される。

    素子が互いに作用するその方法についての、これまでに進めてきた考え方に従い、
    直接接触している素子におけるこの現象の原因を探さねばならない。

    さらに、その結果、
    空間の無限小領域において、一方から他方へ生じる突然の遷移を認めねばならない。
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