Measure the Earth at the summer solstice/地球を測る−1/3     


エラトステネス
紀元前275年(?)〜
紀元前194年(?)

1.古代ギリシャの偉人−エラトステネス

 今から2000年以上前のギリシャには、地球が球形であることを確信し、当時の天文学と数学(幾何学)を利用して地球の大きさを計算した人物が何人かいました。その中でも傑出しているのがエラトステネスでしょう。周知の通り、プトレマイオスの依頼によりその子息の師となると共に、アレクサンドリア図書館の館長を勤めた人物です。しかし、多芸多才を誇った彼でさえもあだ名が「β:ベータ」つまりαの次という意味の「第二の男」というあまり名誉とはいえない呼ばれ方をされていたようです。
 そんなエラトステネスと地球の大きさの測定方法についてですが、前述の通り、WEB上の複数のHPで同じ内容が紹介されておりますので、そちらを参照していただきたいと思います。

エラトステネスに関する書籍ですが、読みやすいものを挙げておきました。

 参考:T.L.ヒース著「復刻版 ギリシャ数学史」P278〜、数学上の業績は他にも記述あり。
    G.ポーヤ著「自然科学における数学的方法」P15〜


2.夏至に測定するわけ

 若干の説明をいたしますと、エラトステネスはある時期になると日中井戸の底がはっきり見えることをヒントに、あることに気づいたといいます。これが意味するところは、その場所では太陽光線が井戸に対して直進しているということであり、地球に対し井戸の位置で接線を引いたなら、太陽光線はそれに垂直に入射する。つまり、井戸は北回帰線上にあり、井戸に入った光の道筋を延長すると地球の中心を通ります。当然ですが、夏至のときこの一帯では影ができません。ここをP点とします。
 次に、彼は、太陽光とグノモン(日時計の垂直棒)との角度が明確で、さらに別の場所で距離がわかっている同じ経度上の地点Qがわかれば、幾何学的(円の円周角と弧の関係)に問題を解くことができると直感したわけです。そしてそのタイミングは夏至のときだけです。夏至が重要なのはそのためです。

3.夏至について詳しく知る

 現代に生きるわれわれは、中学の理科で天体の基礎の一つとして夏至について学びます。
多くの人が夏至は毎年6/21であることを知っていると思いますが、一体、巨大な天体の運動において、太陽が出ている時間がもっとも長い日=夏至が1日だけということはないでしょう。
 そこで国立天文台のHPを調べてみると、次のような面白いことがわかりました。今年2016年6月の長野県(市町村は未指定)の夏至と南中時刻、さらに日照時間の計算結果を加えた表を図3.1に示します。


              図3.1 夏至前後のデータ(2016.6) 

このデータによれば2016年では、
 南中高度が最も高い日   :6/18〜6/24の7日間 (6/21はちょうど真中)
 日照時間がもっとも長い期間:6/15〜6/26の12日間
であることが分かります。
 日照時間がもっとも長い期間が夏至です。結果として、それは12日間もあるということです。またその間に太陽の南中高度が最大になることも得心が行くと思います。
 さらに、このテーマの目的であるグノモン(日時計の直立棒)の影の測定においても、その影が真北に向かい、且つ最も短くなるのは6/18〜6/24(午前11:48〜11:50)の間の7日間ですから、余裕を持って測定することができます。

注)WEB上には、夏至に関して記述したHPがいくつかありますが、誤った内容のものもあるようです。他のテーマにおいても指摘しましたが、ウィキペディアを始めとして中には信用できない内容のものが検索上位に出てくることが多々あります。文献や専門のサイトでよく確認したいものです。

国立天文台http://eco.mtk.nao.ac.jp/cgi-bin/koyomi/koyomix.cgi


4.夏至と太陽、地球、星座の関係

 中学で習った夏至のついでに、その頃の天体や星座の配置がどのようになっているのか気になりました。(学校や学習塾では毎年繰り返されていますが、新中学三年生が覚えるべき内容でもあります。)
 図4.1は、国立天文台のHPからダウンロードしたものです。2016.6.21 21:00頃の東京の夜空の星座の予想図です。


               図4.1 夏至の頃の星座

これによると、条件がよければ、黄道12星座の内の半分まで見ることができ、さらに火星、木星、土星も夜空の東〜南〜西にかけて見えるようです。(望遠鏡が必要だと思いますが・・・)

 大まかですが、太陽を中心にして、黄道12星座、地球、その他の惑星を平面図(図4.2)に書き直してみました。尚、図上の各月における天体の配置は、その季節や時間により変化しますので、この通りとは限りません。(そういえば、これとそっくりな図が、以前、高校入試の問題にありました。)


             図4.2 夏至の頃の星座の平面図


以下の文は、目次からジャンプしてご覧ください。

−目  次−

5.地球上の緯度経度を得る方法
6.地球上の2点間の距離−ヒュベニの公式
7.幾何学により地球の大きさを計算
8.結果を予測する
9.測定用冶具の製作と予備測定
10.緯度経度を取得する
11.付属のEXCELファイルの使い方 / 12.測定結果
 

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