Georg Simon Ohm 's 1827 paper

電流の法則.

−これまで、λ、λ’、λ”は、AB、BC、CD部の長さをなす比率、そして、それらの導電率と断面の積に比例する線を表わしてきた。

もし当分この決定を制限し、線λ、λ’、λ”の絶対的な大きさを未知のままにしておくならば、そのために、λ、λ’、λ”の大きさは単に、前述の比率に比例しないばかりか、それらと等しいことになるだろう。

さらに、今後は、“縮小長”という表現の意味に従うと、この制限を修正することになる。


2つ前の方程式の最初が、

      (訳注1)
となり、一般的には次の意味を示す:

回路のどの同種の部分における電流の大きさも、その縮小長で割った前述の部分の両端に表われる電気の力の間の差の比率に等しい。

その結果、電流の力に関するこの表現は、使用され続けるだろう。

前の方程式の二番目は、認められた変化により、

  
となる。

一般的にこれは真であり、既に回路の全部分における電流の力の量を示す。

言葉でいえば、それは次のように表現されるだろう。:


現在、縮小長により、
同じ導電率と断面の積により、同種の部分と同じ
実際の長さを割ることで得られた全ての比率の総計と理解されていることを考慮すると、
ガルバーニ電気回路における電流の力は、直接的には、全電圧の合計と同様であり、
また、逆の意味では、回路の全縮小長と同様である。

(編注)
[ “縮小長”−とは、既知の太さの銅線の長さ、回路の抵抗の合計に相当する抵抗、これをオームは縮小長と呼ぶ“

−ベイカーリアン講義、1843年1月15日、ホイートストーン(訳注2)

[ 上の2つの方程式の後者が事実上のオームの法則であり、最初の厳密な公式化である。

1843年の王立研究所のベイカーリアン講義で、ホイートストーンは、ボルタの回路の定数の決定をするための過程を議論し、電流の法則、電気的な測定の過程とそのような測定をするための手段を述べた。


かれは、前述の“ボルタの回路に関する彼の理論に中で、オームによって確立された原理を基礎により手段と過程がすべて発見される”という点に注目し、その理論を、彼は“すばらしく、包括的な”という言葉で表している。


更に“電気回路の法則を考察する場合、オームの努力(の上)に立ってみると、非常に多くの、またそうしたさまざまな現象がそのような簡単且つ一般的な公式によって表現される実験的科学の分野はめったにない“と、かれは続ける。

この講義でなされたオームの法則に関する報告は次の通りである。

“Fは電流の力を、Eは起電力を、Rは抵抗を意味するとしよう、
そのとき         “ 
                  
となる。  ]

[“ 閉じた回路を通る電流の形で伝わる電気の絶対強度は、2つの状態のみに依存する。

即ち、その力、もしくは電気を生み出す力、つまり起電力と呼ぶものであり、また、ひとまとめの全回路により表わされる導電性という抵抗である。

以前は決して考慮されることのなかった後者の要素(導電性という抵抗)は、私自身が、1825年に、私が既に言及した研究論文“(Ann. De Ch. Et de Phys. 1巻28.190ページ)”で、また、私が1828年とその後に出版した継続的研究においても指摘した。

1827年に公にされた重要な研究において、M.オームは、純粋に理論的な考察の結果として、閉じた回路における電流の力が、回路内で活性となっている起電力の合計に直接比例する、という結論に達した。

つまり、Eと呼ぶものであり、Rと称する回路の全部分の全抵抗に逆比例するものである。

言い換えれば、電流の強さIは、抵抗の総計で割った起電力の合計に等しい。
           ” 

  

−電気学の論文. ド・ラ・リーブ. 2巻.77、78ページ  ]


(訳注1)
 電気工学を学んだものにとって、ホイートストーン氏は、オーム、キルヒホッフ等と並んで、決して忘れてはならない名前である。氏の名称の付いた偉大な業績は、現在も、ホイートストーンブリッジ回路として健在である。ひし形状回路の平衡条件は、オームの法則の拡張バージョンともいえるキルヒホッフの法則を使用して、3元連立方程式を解くことからはじまる。計算は煩雑だが、ひし形の中心の抵抗の電流がZeroになる条件で、驚くほど簡単な平衡条件を求めることができる。計算の苦労の末、結果がでたとき、溜飲がさがる思いがした者は多いのではないだろうか。また同時に、数学的なスマートさをも感じることができる驚きの発見でもある。
 さて、今日、ホイートストーンブリッジ回路は、微小な信号の検出を行うセンサー回路や計測回路などにも使用されており、故・国文学者、佐古純一郎先生の言葉をお借りすれば、まさに”無くてならぬもの”なのである。
 ついでだが、キルヒホッフ氏の業績は電気の分野だけではない。物理学を学んだものにとっては、黒体放射論や反応熱に関する法則で忘れることの出来ない人なのである。

(訳注2)
定義から
   A:L=GF’:λ=IH’:λ’=LK’:λ”
よって
A/L=GF’/λ=IH’/λ’=LK’/λ” =S(電流)とおくと、
   S=IH’/λ’=A/L
即ち、全電圧/全長(全抵抗)=電流
という式が現れる。



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