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              Mars Report by "NASA"/2019.2.13b
    NASAのオポチュニティ・ローバー、火星におけるミッションをついに終える


     

    ニュース|2019年2/13
    NASAのオポチュニティ・ローバー、火星におけるミッションをついに終える
     
    影とその姿:ローバーが火星のメリディアニ平原領域内にあるエンデュアランス・クレーター内のかなたへ移動したとき、NASAの火星探査ローバー・オポチュニティの影の劇的な画像が、ローバーの正面の危険回避カメラによりSol 180(2004年1/26)に撮影された。

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    最大の成功の一つ、惑星間探査の偉業に耐えて、NASAのオポチュニティ・ローバー・ミッションは、火星表面の探査を行い、さらに赤い惑星へのNASAの帰還のための土台作りを支援しつつ、ほぼ15年が経過、ついに最後を迎える。
     

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    厳しい砂嵐が2018年6月に火星全体を覆った時、オポチュニティ・ローバーは地球との通信を停止した。
    通信の回復のため1000以上のコマンドを送った後、NASAのジェット推進研究所(JPL)で宇宙飛行運用施設の技術者らが、火曜日にオポチュニティを回復すべく最後の試みを行ったが、その甲斐はなかった。太陽光発電のローバーの最後の通信は6/10に受信された。

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     “オポチュニティのような草分けとなるミッションがあるがゆえに、いつかわれらの勇敢な宇宙飛行士が火星表面を歩くその日が来るだろう、”とNASA管理官、Jim Bridenstineは語った。
    “さらにその日が来る時、その初の足跡のある部分はオポチュニティに関わる人々、そしてこれまでの常識を覆し、探査の名のもとで多くを成し遂げた小さなローバーのものと認められるだろう。“

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    ちょうど90火星日継続し、さらに1100ヤード(1000m)動き回るように設計されたオポチュニティは、耐久性、科学的な価値、長寿命においてすべての期待を大幅に超えた。その寿命を60倍に伸ばすことに加え、ローバーは火星−パーシバレンス・バレー−上の最適な永眠の地点に達するときまでに、28マイル(45km)以上動き回った。

     
    下り坂でのオポチュニティの視界が火星の影を捕える:NASAの火星探査ローバー・オポチュニティ搭載のナビゲーション・カメラ(Navcam)による5つの画像を結合したモザイク風景は、エンデバー・クレーター西の縁の内部傾斜にある“パーシバレンス・バレイ” 上端の内側からの景観を示している。


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    ”10年以上に渡り、オポチュニティは古代の火星について、湿気の多い、潜在的に居住可能な惑星としてわれわれに教えてくれるとともに、未踏の火星の風景を知らせてくれる、惑星探査の分野の象徴でありつづけた、“とNASAの科学ミッション本部の準管理者、Thomas Zurbuchenは語った。
    “オポチュニティの遺産が−キュリオシティ・ローバーとインサイト着陸船とともに火星表面で−さらに、将来の火星2020ローバーが具体化し始めたJPLのクリーンルーム内で知識として引き継がれているかぎり、われわれの今の喪失感はきっと和らげられるだろう。”

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    カリフォルニア州にあるNASAのゴールドストーン深宇宙施設にて、70m火星ステーション・アンテナ経由で送られた最後の送信は、ローバーと何とかして通信をするための試みにおける、多面的な8カ月の回復計画をもって終了した。

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    オポチュニティの自撮り画像:オポチュニティはこのローバーのモザイク画を結合した画像を撮るため、全景カメラを使用した。

     “われわれは、オポチュニティを回復しようと試みる、あらゆる合理的な技術上の努力を行ったが、これ以上回復努力を続けても、もはや信号を受信する見込みはほとんどない、と判断した。”とJPLの火星探査ローバー(MER)プロジェクト管理者John Callasは語った。











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    オポチュニティは、フロリダ州ケープ・カナベラル空軍基地から打上げられた後、7カ月後の2004年1/24に火星のメリディアニ平原領域に着陸した。双子のローバーであるスピリットは火星のもう一方の側の103マイル幅(166km幅)のグセフ・クレーター内に20日早く着陸した。スピリットはそのミッションが2011年5月に終了する時までに、ほぼ5マイル(8km)を記録した。


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    オポチュニティが着陸した日から、ミッション技術者チーム、地球上のローバーの運転者と科学者らは課題を乗り越え、火星上の地質学上のある地点から次の地点へローバーを移動するため協力してきた。
    384ポンド(174kg)の火星探査機が、周囲を、時には、岩石や巨岩を超えて、巧みに行動することができるように、さらに32°の険しい勾配の砂利だらけの傾斜を登り、クレーターの底を探査し、丘をのぼり、そして乾燥した川床を出来る限り動き回ることができるように、彼らはデコボコの地形上に作業可能な通路を決めて地図を描いた。

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     “パーシバレンス・バレーと呼ばれる地点は、火星表面で持ちこたえることができる、オポチュニティのための最適な場所だと、私は考えている、”とJPL長官Michael Watkinsは語った。
    この大胆不敵な小さなローバーの記録、発見、真の粘り強さは、独創性、献身、それを建造し導いた人々の忍耐力を証明するものだ。“


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    NASAのオポチュニティ火星ローバーとともにドライブし、ミッションを支援した科学者らと技術者らの声を聞こう。90日間走行するように設計されたこの探査は2004年から2019年まで15年以上に及んだ。
    (ローバーは、この動画の)道に沿って、古代の火星上に液体の水の決定的な証拠を発見し、これまでにない運転記録を作った。

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    それ以外のオポチュニティの成果


    ・2005年3/20、721フィート(220m)移動し、1日の運転記録を達成。
    ・360度カラー全景写真を15枚含む、217000以上の画像を返送した。
    ・分析する新しい鉱物を示すために52個の岩石を露出させた、そして分光計と顕微鏡撮像装置での検査に備えるため、ブラシで72の追加目標を磨いた。
    ・着陸地点でヘマタイト(赤鉄鉱)、水中で形成される鉱物を見出した
    ・エンデバー・クレーターで、地球上の池や湖の飲料水に似た古代の水の作用に関する強力な証拠を発見した。

     

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    砂っぽい火星ローバーの自撮り写真
    :ミッションが5回目の火星の冬に近づいていたとき、NASAの火星探査ローバー・オポチュニティからのこの自撮り写真は、ローバーのソーラーパネル上の砂の堆積を示している。

    荒地を走行し、位置選定しつつ、あらゆる科学的な分析を行うことが火星探査ローバーの第一目的:即ち、赤い惑星の気候の歴史的証拠、さらに環境がかつて生命のために適していた可能性のある地点で水を探し出すこと、であった。なぜなら、知っての通り、液体の水は生命に不可欠であり、オポチュニティの発見は、メリディアニ平原の状況が火星の歴史においてある期間居住可能であったであろうということをほのめかしていたからだ。











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    “初めから、オポチュニティは水に関する証拠の捜索をうまくやり遂げた、“とカーネル大学でローバーの科学ペイロード(有効荷重)に関する主任研究員、Steve Squyresは語った。“そして、オポチュニティとスピリットの発見を1つに合わせると、それらは、古代の火星は今日の火星とは非常に異なった場所−冷たく、乾燥し、荒れ果てた世界−だった、ということを我々に示した。だが、もしもっと過去の古代を調べるなら、表面下で液体の水を、また表面で水の証拠をいやでも発見するだろう。“

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    全てのこれらの成果を得るには、時折地球外で起きる障害が付きものだった。2005年には唯一、オポチュニティの前輪の一つの操舵が出来なくなった。その後、ヒーターが動作しなくなり、ローバーの利用可能な電力に厳しい制限を課すという悪い結果となった。さらに、火星の砂がほぼトラップにかかったローバーに次々と押し寄せた。
    2年後(2007年)、2か月に渡る砂嵐がまだそれが弱まらない内にローバーを危うくした。2015年には、オポチュニティは256Mbyteフラッシュメモリの利用ができなくなり、2017年には、もう一方の前輪の操舵を失った。

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    ローバーが障害に直面する度に、地球のオポチュニティのチームはローバーを早急に立ち直らせるべく解決策を見出し、実行した。しかしながら、2018年夏に発生した大規模な砂嵐は、史上もっとも年長の火星探査車にはあまりに巨大すぎたことが分かった。


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     “私がオポチュニティを思うとき、我が勇敢なローバーが皆の予想をはるかに超えた火星にいるのだということを思い起こす、”とCallasは語った。“だが、私が密かに最も心の中で思うことは、オポチュニティはこの地球上にいるわれわれにかかっているという衝撃(強い印象)である。それは成就した探査と驚異的な発見である。それはこのミッションで宇宙の探査者となった若き科学者らと技術者らの世代である。それはわれわれの(ミッションの)あらゆる段階とともに後に続いた一般大衆である。そして、それは火星探査ローバーの技術的な遺産であり、キュリオシティと来る火星2020ミッションと共にもたらされる。
    さらば、オポチュニティ、よくやった。“

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    火星探査は衰退することなく継続している。
    11/26に着陸したNASAのインサイト着陸船は、科学上の調査をいま正に開始している。キュリオシティ・ローバーは6年以上ゲイル・クレーターを探査してきた。そして、NASAの火星2020ローバーとヨーロッパ宇宙機関のExoMarsローバーの両者は2020年1月に打ち上げられるだろう。赤い惑星における過去の微生物の生存の痕跡を探すよう設計された初のローバーミッションとなるだろう。


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    NASAのジェット推進研究所の宇宙船組立施設を見て回り、組立中の火星2020ミッションをみよう。
    プロジェクト・システム技術者Jennifer Trosperが、ローバー、降下ステージ、クルーズステージ、バックシェル、熱シールドを含む、組立て且つ試験中のハードウェアを解説している。このNASAミッションは2020年の赤い惑星への打上げと着陸準備をしている。JPLはワシントンにあるNASAの科学ミッション本部から火星探査ローバー・オポチュニティとスピリットを管理した。


     

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