Mars Report by "NASA"/2018.09.06
キュリオシティは埃っぽい大空の下、あるミステリーを調査


ニュース:2018/9/6
キュリオシティは埃っぽい大空の下、あるミステリーを調査。

 

 8/9に新たな岩石サンプルに引っかかった後、NASAのキュリオシテイ・ローバーは、ベラ・ルビン尾根の現在の位置の360度パノラマ写真を製作しつつ、火星でその周辺を調査した。

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 パノラマ写真は、衰えつつある広大な砂嵐により暗くなった暗褐色の空を含んでいる。
それは、キュリオシティのデッキ上の厚い砂の層を表す、ローバー自身のマスト・カメラによる珍しい光景を含んでいる。地球の若齢期についての重要な発見物が湖底堆積物内で作られたというスコットランドのある町にちなんで、“Stoer”(ストーアー)と命名されたローバーの最近の掘削対象が前景の中に写っている。

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 新たなドリル・サンプル(掘削標本)がキュリオシティの科学チームを大喜びさせた。なぜなら、ローバーの最後の2つの試掘は未知の堅い岩石により妨害されたからだ。
キュリオシティは今年初めに機械的な問題に対処するため、新たな掘削理論を用いて掘削を開始した。
例えどの理論が使用されたにしても、堅い岩石がある問題を提起したことを暗示しており、試験は古い理論同様に岩石を穴あけする場合に効果的であることを示した。

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 岩石に穴を開ける前に、それがどの程度堅い岩石であるかを正確に決定することは、キュリオシティには無理である。そこで、この最近の掘削作業において、ローバー・チームは経験に基づいた推測を行った。この尾根の広範囲の岩棚は、風の侵食にもかかわらず、立つことが可能なより堅い岩石を含んでいると考えられた。岩棚の下方の一点がより柔らかく、破壊可能な岩石を有する可能性が高いと思われた。その計画はうまくいくと思われるが、なぜベラ・ルビン・リッジがそもそも存在するのか、といった問題がまだたくさんあるのだ。

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カリフォルニア、パサデナのNASAジェット推進研究所のキュリオシティ・プロジェクトの科学者、Ashwin Vasavadaに従い、ローバーは色と質感に大きな変化のある場所には決して向かわなかった。
JPLはキュリオシティがその一部であるマーズ・サイエンス・ラボラトリ・ミッション(*1) を率いている。


訳注)
(*1)マーズ・サイエンス・ラボラトリ・ミッション
 Mars Science Laboratory(MSL:マーズ・サイエンス・ラボラトリ)は、カルテク(*2) の概要説明によると次の通り。


<マーズ・サイエンス・ラボラトリは、火星には微生物の生命を支えることが可能な環境が、かつてあったのか、もしくは現在もあるのかどうかを評価するローバー(火星面の探査車)である。言い換えれば、その任務はこの惑星の“居住適性”を判断することにある。>
(CalTech overviewによる)

 日本語wikipediaとweblioの説明は全く同じで、マーズ・サイエンス・ラボラトリを“火星探査ミッションで用いる宇宙船の名称”としている。どちらが丸写ししたのかは知らないが、“うそ”はだめでしょう。日本語wikipediaのデタラメは既にいくつか指摘してきた通り有名ですが、
下記の本家NASAのURL
https://mars.nasa.gov/msl/mission/

を訪ねて良く原文を読んだ方が良いのではないでしょうか? 宇宙船では無く、探査車であるローバー と明確に述べています。ローバーは単独で宇宙を航行する能力はないので宇宙船ではありません。走って移動し掘削をし、分析を行う研究室です。


(*2)カルテク
 朝永、シュウィンガーとともにノーベル物理学賞を受賞し、「ファインマン物理学(日本語版全5巻)」の著者でもあるファインマン教授が在籍したカリフォルニア工科大学の略称


 

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(これは動画です。)

 NASAのキュリオシティ・ローバーは2018年8/9に、火星のベラ・ルビン尾根上で現在の位置の360度パノラマ写真を作成しながら、その周辺を調査した。

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 “この尾根は一枚岩ではない−それは2つの異なる部分から成り、それぞれ色が異なっている。”とVasavadaは語った。 “あるモノは目で見ることができるが、われわれの目では見ることができない近赤外線で見るとき、別のモノが現われる。あるものは、その岩石がいかに堅いかに関連しているようだ。“

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 これらの岩石がなぜそれほど堅いのかを発見するための最良の方法は、それらを掘削して、ローバーの2つの内部研究施設用に粉末にして持ち込むことである。それらを分析することは、風の侵食にもかかわらず、そびえ立つことを可能にするこの尾根内で”セメント”のように作用しているものは何か、を明らかにするだろう。最も可能性が高いのは、おそらく、この風防“セメント”を分散させる配管のような働きをしながら、古代に尾根を通して流れた地下水がそれを増強するという役割を有したのだろう、とVasavadaは語った。

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 尾根の多くが水に含まれるミネラル、ヘマタイト(赤鉄鉱)を含んでいる。それはビーコンのようにNASAの軌道衛星の気を引き付けるほどの、強力なヘマタイトの暗号である。ヘマタイト内のある変化が結果としてより堅い岩石にすることができたのか? それらをひどく変形させない尾根の赤い岩石内に何か特別なものがあるのか?

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しばらくの間、ベラ・ルビン尾根はその秘密を守り続けるだろう。

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 9月には、さらに2つの掘削サンプルの入手がこの尾根で計画されている。
その後、キュリオシティは科学研究の最後の地帯−シャープ山の更に上の粘土と硫酸塩鉱物が豊富な領域へと進むだろう。その登坂は10月初旬に計画されている。


 

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