Mars Report by "NASA"/2018.08.30
”オポチュニティ・ローバー上の晴れ渡る火星の空(に期待!)


ニュース:2018/8/30
オポチュニティ・ローバー上の晴れ渡る火星の空(に期待!)


 


 オポチュニティのパノラマ・カメラ(パンカム)が、2017年6/7から6/19の間、エンデバー・クレーターの外側の位置からこの眺めの構成画像を撮った。この風景の右方向には、クレーターの東の縁に幅の広い峡谷がある。

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5/30に最初に検出され、オポチュニティ・ローバーの作業を停止した、火星の惑星全体を包み込む砂嵐は和らいできている。

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火星のパーシバレンス・バレーにおける、オポチュニティの休止地点上の空が晴れて、カリフォルニア、パサデナのNASAジェット推進研究所 の技術者らは、約15才の太陽光発電のローバーがまもなく自動的に回復手続き−もしローバーがそれを行うことが可能なら−を始めるのに十分な太陽光を受けるだろうと考えている。その時のために、オポチュニティ・ミッション・チームは、ローバーと通信を行い、さらにオンラインを取り戻すことに成功するという最高の可能性に備えるべく、2段階の計画を開発した。

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“太陽はパーシバレンス・バレーを覆う霞の間から表れており、今十分な光があるとすぐに、オポチュニティはそのバッテリを再充電することが可能になるはずだ。“ とJPL のオポチュニティ・プロジェクト・マネージャー、John Callasは語った。
“タウ・レベルが[火星の空にある微粒子からなる物質の量の測定値]に一次的に1.5以下に下がるとき、われわれがNASA の深宇宙空間ネットワークのアンテナ経由で命令を送ることにより、ローバーとの通信を試みることで活動期に入るはずだ。われわれがオポチュニティからの返信を受けとったなら、われわれはその状態を認識し、オンラインでそれに返信する手続きを開始するだろう。“
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現在の砂嵐がローバーを包み込む約11カ月前の写真である。エンデバー・クレーター西端の内側斜面で、“パーシバレンス・バレー“の上端内部からの眺望を示すモザイク画に変換された5枚の画像を、オポチュニティが撮影した。この画像は2017年7/7に撮影された。

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地球とローバーの最後の通信は6/10の受信だった。オポチュニティの現在の健康状態は分からない。
オポチュニティの技術者らは、ローバーの位置周辺のタウ値を判断するために、NASAの火星リコネッサンス・オービター(MRO)に搭載された火星カラー撮像装置(MARCI )からのデータを解析している火星の科学者の専門的意見を信頼している。
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“2018年の火星の広大な砂嵐によって発生した砂霞は記録上最も広範囲に渡るものの一つであったが、
すべての兆候が遂に(砂嵐が)終息しつつあることを示している。“
と、JPLMRO プロジェクトの科学者Rich Zurekは語った。
“オポチュニティの位置のMARCI 画像は、ローバーの位置の3000km[約1900マイル]範囲内でしばらくの間、砂嵐が活動的ではないことを示していた。“
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空が晴れ渡ると共に、ローバーは呼び戻そうと試みるはずだ、とミッション管理者らは希望をかけているが、かれらは長期に渡る沈黙にも備えている。
“もしわれわれが45日経ってもローバーからの返信がないなら、太陽を遮光する砂と火星の寒気が重なった結果、ローバーがおそらくこれ以上回復できない、という何らかの欠陥を生じたと、チームは結論せざるをえないだろう。“ とCallasは語った。
“その点では、オポチュニティと外部との連絡をとるというわれわれの活動段階は終わるだろう。
しかしながら、太陽のエネルギーを遮断しているソーラーアレイ上に溜まっている大量の砂がある、という見込みのない状態でも、われわれは数か月間、前向きな努力を継続するだろう。“
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黙って聴いているだけの通常でないこの数カ月は、赤い惑星の砂の悪魔がやって来て、オポチュニティのソーラーアレイの塵を完全に払ってくれる、という可能性を待つしかない。
そのような“清掃事件”が何度か起こったことが、2004年に火星のローバー・チームにより初めて発見された。その時、スピリットとオポチュニティの両方に搭載されたバッテリの電力レベルが、ただ1回の火星の夜の間に数パーセントだけ増加した。その時は、減少し続けるだろうというのが当然の予測だった。これらの清掃する砂の悪魔は、地表のローバーと軌道にある宇宙船の両方により画像化もされた。

 

砂の堆積はオポチュニティの通信を不可能にする根本的な原因であり、その可能性は少ない。この消極的な段階の日々にもかかわらず、JPLの無線科学技術グループは、ローバーが接触しようとしている信号を探すために、無線周波数用の非常に高感度なブロードバンド受信機により火星から放射される信号の記録をくまなく捜している。
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例えこのチームが各フェーズ(段階)の間にオポチュニティからの返信を受けたとしても、ローバーが操作できるという確証は無い。結果としてエネルギー生産が減少して、バッテリの性能が落ちてしまったこと、またはローバーを完全にオンラインに戻すことを困難にする他の予知できない損傷以外は、オポチュニティのシステムに起きたこの最近の嵐の影響は未知である。
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パーシバレンス・バレーでの状況は危機的である一方で、オポチュニティが火星で14年以上もの間、重大な挑戦を克服してきたことを分かっているので、ローバー・チームは慎重だが楽観的だ。ローバーは2017年6月に左前輪、2005年には右前輪の操舵能力を失った。その256Mbyteのフラッシュメモリももはや機能しない。このチームは、ローバーに関する全てのものが保証期間をすっかり超えているということも分かっている。つまり、オポチュニティと2つのローバー・スピリットは共に90日の任務のために製作されたのである。ところが、スピリットは(その任務を)20回以上続けたし、オポチュニティは60回に達している。このローバーは約1000ヤード(約914Km)走る様に設計されており、オポチュニティは28マイル(約45Km)以上記録してきた。良い時も悪い時も、チームは頑張り続けるかれらのローバーを見てきた。今、オポチュニティの技術者らとオポチュニティの科学者らは、計画を立て、期待している。つまり、この最新の窮地は彼らの火星の道で起きた軽い衝突事故程度のものあるということだ。
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“このような状況で、あらゆる不足の事態に対する最良の計画を、皆さんは望むだろう。” とCallasは語った。
“われわれはもう一度、この苦難から彼女の足を救うために我らの粘り強いローバーを支援している。
そしてもし彼女がやってくれるなら、われわれは彼女の答えを聴くべくここにいるだろう。”
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