Mars Report by "NASA"/2018.08.20
”NASAのインサイト、火星への中間点を通過。装備の検査を実施。


ニュース:2018/8/20
NASAのインサイト、火星への中間点を通過。装備の検査を実施。
 


 

 インサイトは現在火星へと航行している。このイラストは小型制御ロケット付き防護殻内のカプセルに収納されたインサイト宇宙船を示している。

11/26の火星着陸の途上にあるNASAのインサイト宇宙船は8/6に中間点を通過した。
装置全てが試験された結果、うまく作動していることがわかった。

8/20現在、107日前の打上げ以来、この宇宙船は172百万マイル(277百万km)を旅してきた。
残りの98日に、それは129百万マイル(208百万km)を旅し、火星のエリシウム平原領域に着陸するのだ。そこで、赤い惑星の深部を調査することが最初のミッションとなるだろう。
インサイトは地震調査、測地学、熱輸送に使用する内部探査を行う。


 

 インサイト・チームは、宇宙船が火星に到着する前の時間を使用して、計画を練り、その重要な日のための訓練を行うだけでなく、航行、着陸、火星表面での運用に関わる重大な宇宙船のサブシステムを起動させ、さらに検査する。またそのシステムは非常に精密な科学技術装置を搭載している。


火星の振動を検出するために使用されるインサイトの地震計は、7/19に“健康証明書”を受信した。
SEIS装置(内部構造の地震実験)は、広域周波数により地殻振動を測定するため、2タイプ・センサを組み合わせた6センサ型地震計である。
科学者らはそれにより火星の内部活動を知る好機を手に入れるのだ。


 

 インサイトの聖なる場所が明かされる。
 この長時間露光の画像(24秒)は、NASAのインサイト火星着陸船のインスツルーメント・コンテキスト・カメラ(ICC)によって撮影された。

“われわれは7/19に最後の性能検査を行い、それは成功した。”と、カリフォルニア、パサデナ、NASAジェット推進研究所からインサイトの主任研究員Bruce Banerdt は語った。

このチームは火星から逃げる多量の熱を計測する機器をも検査した。火星表面に設置された後、インサイトの熱流と物性パッケージ(HP3)装置は、10〜16フィート(3〜5m)の深さまで掘り進んでいく、自己ハンマリング式掘削機を使用する。掘削機と科学機器にはセンサーが搭載されており、その掘削機から火星表面までケーブルで接続されている。
これにより、計測機は惑星内部から逃げる熱の量の初の正確な測定が可能になる。

点検は、
装置のための主要な電子機器への電力の供給
装置のセンサー素子の検査の実施
装置の内部ヒーターのいくつかの稼働
電子機器モジュール内に蓄積された測定値の読みだし
であった。


インサイトの3つの主な研究の第三−回転と内部構造実験(RISE)−は火星の回転軸の摂動を評価するために地球と宇宙船との無線接続を利用する。これらの計測はこの惑星の核についての情報を与えてくれるだろう。

“打上げの日以来、われわれはずっと宇宙船の無線を使用してきた。
そして、インサイトとのわれわれの会話は(お互いを)非常に元気付けるものだった。
故に、われわれは現在RISEと共に準備が整っている。“
とBanerdt は語った。

着陸船のカメラが、宇宙船のバックシェルの内部の宇宙船の自撮り写真を撮影したところ、現在検査は快調に進んでいることが分かった。

インサイト計画マネージャー、トム・ホフマンは次のように語った。

“もしあなたがインサイトに携わる技術者なら、つまり、それは我々のインスツルーメント・コンテキスト・カメラ(ICC)が完全に動いていることを意味するので、熱遮蔽ブランケット、ハーネス固定用具、カバーボルトの初の写真は、(われわれ技術者らが)大いに安心してよいということなのだ。
我々がこのカメラで撮影しようと計画している次の画像は火星の表面だ。”

もし、全てが計画通りにいけば、インサイトが火星に着陸した後、カメラはエリシウム平原の初めての画像を撮るだずだ。

JPLはNASAの科学ミッション本部からインサイトを管理している。
インサイトは、アラバマ州ハンツビルにある政府機関のマーシャル宇宙飛行センターにより管理されるNASAのディスカバリ・プログラムの一部である。
クルーズ・ステージ(*1)と着陸船を搭載するインサイト宇宙船は、デンバーのロッキード・マーティン・スペース社により製作され、試験された。


 フランスの国立宇研究センター(CNES)とドイツの航空宇宙センター(DLR)を含む、多くのヨーロッパの同僚たちがインサイトの任務を支援してくれている。
CNESは、内部構造(SEIMS)装置のための振動試験を準備してくれた。
さらに、ドイツの太陽系研究(MPS)におけるマックス・プランク研究所、スイスにあるスイス技術研究所(ETH)、イギリスのインペリアル・カレッジとオックスフォード大学、そしてJPLにより重要な貢献をしていただいた。
 DLRは熱流量と物性パッケージ(HP3)装置を準備してくれた。


 


 (*1) クルーズ・ステージとは?
この写真はNASAが公開している組み立て中のクルーズ・ステージである。
 


 クルーズステージ完成図(NASA)


クルーズ・ステージの大きさと重さはどのくらいか?


  クルーズ・ステージは地球と火星の間を旅するための宇宙船の外形(構造)をしている。
クルーズ・ステージはマーズ・パスファインダーのデザインとよく似ており、小型制御ロケット付き防護殻に取り付けられると、ほぼ直径2.65m(8.7フィート)、高さ1.6m(5.2フィート)になる。その打上げ重量は1063kg(約2344ポンド)となる。

 主な構造は、直径約2.65m(8.7フィート)のソーラーパネルにより覆われ

 たリブの外輪をもつアルミニウムで出来ている。それは5つの部分に分けられ、ソーラーアレイは地球近くでは600W(ワット)、火星では300Wまで電力を供給できる。

 ヒーターと多層断熱が宇宙船の電子機器の“暖房”を保つ。反対に、ローバー内の宇宙航行用コンピュータと遠距離通信ハードウェアから熱を逃がす為のフレオン(フロンの一種)システムもある。それらがオーバーヒート(過熱)しない為である。クルーズ航空電子機器システムは、ローバー内の宇宙航行用コンピュータに太陽センサー、スター・スキャナ、ヒーター同様に他の電子機器とのインターフェースを行うことを可能にする。
 


 宇宙船の航行を維持するクルーズ・ステージの部品


 スタース・キャナーと太陽センサー


  スター・スキャナー(バックアップシステム付き)と太陽センサーは、それに関わる太陽と他の星の位置を分析することにより、宇宙空間内のその場所を宇宙船に知らせる。時々、宇宙船はコース、予定された位置からわずかにそれることがある。この宇宙船には320百万マイル(約515百万km)もの長い旅が課せられている。
この場合、ナビゲーター(自動操縦装置)が機器の健康状態の検査と共に、6機の軌道補正マヌーバーへ指令を出して軌道修正を行う。

推進剤タンク


 宇宙船が、火星上の予定の着陸点に向かい、正しい場所に到達することを確実にするため、2つの軽量のアルミで仕切られたタンク、最大量のヒドラジン推進剤約31Kg(約68ポンド)を運んでいる。

 航行誘導制御システムに加えて、これらの推進剤タンクにより、ナビゲーターは航行中に宇宙船のコースを精密に維持できる。燃焼とパルス噴射により、推進剤は3つの異なるタイプの軌道補正マヌーバーを動かすことができる。

・軸方向の燃焼は宇宙船の速度を変えるための1対のスラスタを使用する。
・側面方向の燃焼は、数秒間のパルスで“横方向”に宇宙船を移動するため、2つの“スラスタ・ク
 ラスタ”(1クラスタに4つのスラスタ)を使用する。
・パルスモード燃焼は宇宙船歳差運動マヌーバー(回転運動)のため1対のスラスタを使用する。


通信可能なクルーズ・ステージの部品


 宇宙船は、人々がFMやAMラジオ放送局を通して音楽やニュースを聴くのと同じ方法で、地球と通信するために無線信号を使用する。Xバンド(8〜12GHz)は、Sバンド(2〜4GHz)を利用していた多くの古い宇宙船よりも、省電力でより小さなアンテナで宇宙船との通信を可能にする高い周波数の無線である。ナビゲーターはクルーズ・ステージ搭載のの2つのXバンドアンテナを通して命令を送る。

クルーズ低利得アンテナ


 クルーズ低利得アンテナは内部リングの内側に搭載されており、クルーズ中利得アンテナは外部リングに搭載されている。航行中、宇宙船はスピン速度2rpmでスピン安定化されている。

この周期的なスピン軸により、アンテナは安定して地球の方向に向くのであり、ソーラーパネルは太陽の方向に向くことができる。

 宇宙船が地球に近い初期航行時には、宇宙船は低利得アンテナを使用する。低利得アンテナは、あらゆる方向にエネルギーを放射して白熱電球のように作用する。ゆえに、宇宙船が地球に近いとき、地球に向けて送信されたほとんどのエネルギーが地球へ達する。

クルーズ中利得アンテナ


 宇宙船は地球から遥か彼方へ移動し、火星へ接近するので、太陽は宇宙船から見える空間の同じ領域にあるが、そのエネルギーは地球のみに降り注ぐ量とは異なる。そのため、宇宙船は中利得アンテナに切り替える。それは投光照明によく似ており、地球に達するより凝縮したビームと等量のエネルギーに向けることができる。投光照明の下で立っているのと同様に、普通の白熱電球のランプの外側に向かう光よりも、一か所により多くの光を向けるのである。中利得アンテナは、低利得アンテナよりもより凝縮されたビーム内に宇宙船からのデータを(地球に)向けることが可能だ。
 


訳注)

 こうした素晴らしい宇宙計画を読んでいると、宇宙開発は一国が独自にその威信を賭けて行う時代は明らかに終わったとしか言えないだろう。
ニュースの最後に書かれた協力各国、各機関への謝辞をもう一度掲載したい。

 フランスの国立宇研究センター(CNES)とドイツの航空宇宙センター(DLR)を含む、多くのヨーロッパの同僚たちがインサイトの任務を支援してくれている。
CNESは、内部構造(SEIMS)装置のための振動試験を準備してくれた。
さらに、ドイツの太陽系研究(MPS)におけるマックス・プランク研究所、スイスにあるスイス技術研究所(ETH)、イギリスのインペリアル・カレッジとオックスフォード大学、そしてJPLにより重要な貢献をしていただいた。
 DLRは熱流量と物性パッケージ(HP3)装置を準備してくれた。

 何故、日本は独自の宇宙開発にこだわるのか? NASAのこうした最大限の謝辞に加えてもらえるような、素晴らしい貢献ができないのだろうか? 実はできない。なぜなら、技術も学問もほとんどがパクリ(猿真似)であるためだ。中国とそうは変わらない。
 クルーズ・ステージに見る独創的な技術や発想力をもち、多くの経験を積み重ねてきた欧米の人々には到底かなうわけがない。”石を落として塵拾う”、このような貧弱な発想や何の積み重ねもない日本では、有人計画など夢のまた夢だろう。また猫や犬、猿で実験か? 五月蠅い連中から攻撃をうけるだろう・・・。失敗するにきまっているが。

 日本では貧弱なパクリ(猿真似)教育しか行われていないため、科学への国民の関心度や理解度は世界の先進国の中でも最低水準だ。さらにメディアの理解力も非常に低く、低レベル番組が多すぎる。例えば、生物の進化を扱った番組は全てCGである。しかもほとんどがアメリカやイギリスの古い番組のパクリだ。これは欧米において高度なCGVFX技術を開発した関係者の宣伝番組なのである。

 数億年前の地球や生物を日本人がCGで再現するのは結構だが、これはあくまで想像上のツクリモノである。ダーウィンの進化論は、”進化学”という学問として確立しているわけではない。今でも仮説であることに変わりは無いのだ。事実、この説には多くの矛盾も存在しており、海外では疑問を呈する研究者も多い。それをあたかも真実であるかのような番組に仕上げて放送するのは大問題だろう。しかも、これは”進化論”という仮説に基づく想像図である、というテロップがどこにもでてこないし、音声でも言わない。

日本人はこうしたものを無条件で、しかも大人まで受け入れる。子供が受け入れるのはもっと問題だ。民族性にも起因するが、やはり多くは教育の問題だ。だが、アメリカ・プラグマティズムの洗礼を半世紀以上受け続け、守銭奴と化した愚かな日本人ではレベルが低すぎて、到底NASAには協力できないだろう。

NASAから謝辞に加えてもらえるような共同研究・製造体制を作り、宇宙を世界と共に開発・研究していく、そんな未来を描ける国になることが、この国にはできるのだろうか・・・・・一体いつになったら気がつくのか ?

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