図1:コーヒーかき混ぜ中。見事な渦です。

図2:RMF・ステラー
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1.身近な現象−コ−ヒーカップの渦−を考える
スプーンでカップ内のコーヒーをかき混ぜたときや洗濯機内に渦が発生することは、多くの人が経験を持っていることと思います。(図1)
今回はコーヒーと人手の代わりに、RMF・ステラー(図2)により非接触でカップ内の水に回転運動を与え、この写真を記録し実寸を測定します。
その一方で、力学的解析(質点の運動)による運動方程式と回転流体の運動方程式(圧縮なし、渦無し)を立て、水の表面(自由表面)の方程式を求めます。
最後は記録した写真と方程式による曲線の関係を比較し、自然現象を運動方程式がどの程度記述できるのかを調べてみます。
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水の自由表面の式1
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2.解析的な方法を試してみる
2.1.一般式を求めよう
力学的解析から回転する液体の自由表面上にあるm[g]の質点を考えます。
この質点は中心からの距離x[m]の同じ周上を速度v[m/s]で回転運動しているものとします。(図1参照)
F1:mが水表面から受ける力(抗力)
F2:遠心力(逆方向は向心力) m・v2/x
(x:回転中心からの距離 )
F3:mに働く重力 (g=9.8[m/s2])
質点の運動はF1、F2、F3の3つの力のバランスの上に成り立ちます。つまりmは同じ位置を回転し続けるものとします。
図1より、(ベクトル表記省略)
接線の傾き (極限)
①
力のつり合い
②
が導かれます。よって①=②より
③
が求まります。
見慣れた常微分方程式です。解が何かは既に想像可能ですね。
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2.2.微分方程式を解こう
次に角速度をω[rad/s]とすると、周速度はv=ω・xで表わされます。これを代入し積分すると
④
(初期条件:x=0、y=0より積分定数=0)
となり、ついに解を求めることができました。
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2.4.計算しやすい式にしよう ④は確かに解なのですが、ω[rad/s]と実験で得られる測定値との関係はどう考えればよいでしょうか?
回転数の単位は1分間の回転数[min−1]ですが、回転角[rad]との関係を考えてみます。
([rpm]は正式な単位としては現在使われません)
1分間の回転数をNとすると、1秒間あたりN/60回転、これに2πをかければ[rad]に変換できることがわかります。よって、

が得られます。これを③式に代入すると、

が得られ、更にg=9.8[m/s2]を代入すると
(有効数字2桁) ⑤
となり、これでようやく測定可能な数値、回転数と回転半径を入れて計算できる式になりました。
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2.5.グラフを作成しよう
図2.5に回転数200、300、400、500[min-1]毎に算出した方程式⑤のグラフとデータを示します。
 
図2.5
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2.6.写真を撮ろう
RMF・ステラーで回転数を設定し、回転数300,400,500[min-1]時の写真を撮ります。図3.6に示します。水の高さや幅などの寸法もメモしておきましょう。200回転は渦が小さいため省略。

図2.6
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2.7.グラフと写真をあわせてみよう
図3.7は、グラフ(図3.5)と回転する水(図3.6)を原寸(1cm単位)にあわせて重ね合わせたものです。
製作にあたり、フリーソフト[普通のものさし
Version 1.5.2]を使用させていただきました。
図2.7
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2.8.評価しよう
現実は3次元ですから、方程式⑤をy軸の周りに回転した曲面が水の表面(自由表面)になるわけです。
ここで3次元ソフトがあると面白いのですが・・・
さて、曲線は極小点からある程度の半径まで水の自由表面に良く近似していますが、カップの縁に近づくと大きなずれを生じます。
何故でしょうか?
この力学的解析では、自由表面の運動を半径xで等速回転する質点(剛体)の回転運動と仮定しました。
よって運動方程式③が立てられた時点で、yとxの関係がある放物線の形
y=c・x2(cは定数)になっていることが見て取れます。
従って、コップの縁に近づくほど実際の水の表面とは合わなくなるのは当然と言えます。
では、より正確な方程式を立てるにはどうしたらよいでしょうか?
それは流体力学( オイラーの方程式
)のお世話になることにほかなりません。
では、次の解析へ・・・ と、その前にご精読いただきありがとうございました。 コーヒーでも飲んで一息入れましょう。
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