Georg Simon Ohm 's 1827 paper      

”ボルタの電気回路”   -25、26/40
The Voltaic Circuit

25.これまでの節において、18節で与えられた一般式
 
から電流の強度を推定し、それがyの係数 により表現されるということを見い出した。

を確かめるためには、
回路の全構成要素の正確な知識とそれらの相互の電圧の正確な知識を持つことが、一般的に必要である。


しかし、この一般式は、
動作中の回路のある一部分の性質からこの値を推定するための手段を示しているだけであり、
今後、その有益性を発見するまで無視するわけにはいかない。


即ち、
ある大きさΔyだけ増大する前述のyの方程式を考え、
さらに、Oの変化分をΔO、uの変化分をΔuで表わすと、
その方程式は
 
となり、その結果、
 
となる。

それゆえ、回路のいずれか2箇所間の検電力の差(電位差)に、
これら2箇所間に生じる全電圧の総和を加え、
さらに、この総和を、これらの前述の回路の部分の縮小長で割ることで、 
電流の大きさを見い出す。

回路のこの部分に電圧が無い場合、?凾n=0となり、
次の式を得る。
 



26.いくつかの同じで単純な回路の組合せであるボルタの電池は
その方法によって得られる、多数且つ多様な実験上の結果から
この点で特に注目に値する。

Aが閉じたボルタの回路の電圧の総和を、Lが縮小長を表わすと、
これまでに見いだした通り、電流の大きさは、 である。

次に、前者とまったく同じであるが、開いた回路nを考えると、
−つまり、常に各回路の終端を、次に続く回路の始点に直接接続してあるので、
両回路間に新たな電圧は発生しないし、
前の(回路の)全電圧が同様にその後の(回路で)も維持される−
それ自身で閉じたボルタの組合せ(電池)の電流の強度は明らかに であり、
その結果は一つの回路のそれ(電流の強度)に等しい。

しかしながら、
新たな伝導体−嵌入伝導体と呼ぼう−が両者間に挿入されるとき、
この回路の方程式はもはや存在しない。

即ち、この嵌入伝導体の縮小長をΛで表わすと、
それにより新たな電圧が生じない場合、
単純な回路の電流の強度は となり、
さらに、n個で構成されたボルタの電池の組合せ(の電流の強度)は
 または となるだろう。

それゆえに、後者の回路(n個で構成されたボルタの電池の組合せ)では、
常に前者のそれ(単純な回路)の電流の強度より大きく、
事実、漸進的な電圧が均一な作用から生じる。

そして、Λ(嵌入伝導体の縮小長)が消えるとき、それははっきりと示される。

さらに、ΛがnLよりも飛びぬけて大きいとき、
ボルタの(電池の)組合せは単純な回路の作用のn倍以上となる。

回路がその電流の力により影響を受ける、その物体の相対的な長さをEで表わすと、
これまでの観測から、
Λ(嵌入伝導体の縮小長)がL(単純な回路の縮小長)に比べて非常に小さいとき、
強力で単純な回路を使用することが最も有益である、
という結果がもたらされる。

そして、反対に、ΛがLに比べて非常に大きいとき、ボルタの電池はその逆になる。

だが、個々の事例において、
与えられたボルタの装置が最大の効果を生み出すためには、
どのように配列させる必要があるのか?

この問題の解決にあたり、
例えば銅や亜鉛などを使用し、同じ比率で作られた、
大きな一組の平板、またはそれよりも小さな一組の平板による、一定の大きさの表面があり、
さらに、2つの金属間は同じ距離で、その間に流体がある場合を想定してみよう。

そして、後者の仮定は、
あらゆる環境下で、その流体を閉じ込めている2つの金属が、互いに同じ距離を保っている
ということを意味している。

Λは、電流が作用する物体の縮小長、
Lは、単純な回路で構成される装置の縮小長、
Aはその電圧であるとしよう。

そのとき、
それ(電池)がx個の電極からなるボルタの(電池の)組合せに変わると、
現在の電圧がxA、各々の素子の縮小長がxLとなるだろう。

x(個の)素子全ての縮小長がx^2・Lであることに従うと
結果として、x(個の)素子からなるボルタの(電池の)組合せの作用の大きさは
 
である。

この式は   のとき、最大値  となる。

こうして、ΛがLより大きくない限り、
単一の回路形式の装置(ボルタの電池)から最も大きな出力を得られることがわかる。

反対に、ΛがLより大きいとき、
ボルタの(電池の)組合せから、最も大きな出力が得られる。

さらに、実際のところ、
ΛがLより4倍大きいときは、2つの電極で、
また、ΛがLより9倍大きいときは、3つの電極で、以下同様に、
構成される場合が最良である。

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