自然哲学の諸問題についてのドイツ王女へのオイラーの手紙

 

私は今、物体Bが物体Aにより引かれるとき、
 引力の力は引きつけている物体
A引きつけられる物体Bの質量に比例することを証明した。


しかし、それはこれらの物体の距離の度合いに依存する。

つまり、もしそれが2倍、3倍、4倍、5倍と大きくなれば、
 引力の力は4倍、9倍、16倍、25倍小さくなる。

これらの性質の法則を確認するためには、
 われわれは距離が何倍に増えたのか示す数とそれ自身を掛けねばならない。


そして、その結果は引力の力が何倍小さくなるのかを示すだろう。


この法則を、多くの人の前にお目見えするためには、

 われわれがそれ自身にその数を掛けるとき、それから生じる結果は二乗と呼ばれる、

  ということを認めねばならない。


よって、これらの二乗を見出すためには、
 われわれは次のようにそれ自身に数を掛けねばならない。











12の二乗が144であることはこの最後の例から明らかである。

そして、もしあなたが何らかの数字、258といった数の二乗を知りたいならば、
 次の図式に従ってあなたはその数にそれ自身を掛けねばならない。

これで258の二乗が66564であることはわかる。

そしてあらゆる数字の二乗は、似たような方法で計算できる。

 



そのとき、物体の距離は自身と掛けられるので、

 引力(attractionの力は距離の二乗が増える分だけ減少する、

  または、距離の二乗は、引力(attractionの力が減らされるのと同様に
   何倍も大きくなる
ということは明らかである。

この性質のテーマを扱う場合、

 それらはときどき会話の成り行きでも起こるので、

  数学者は、あなたが知るべき最適な意味の式を使用する。


もし引力(
attractionの力が距離の二乗に釣合い増加したら、

 われわれは、距離の二乗に比例してというべきだろう。


しかし、まったく正反対のことが起き、且つ距離の二乗が増加すると

 引力(attractionの力は減少するので、

  われわれは、この相反する事実を表現するためにという用語を使用する。


いわば、この力は距離の二乗の逆比例するといえる。


あなたが完全に理解するという意味は、幾何学的な表現方法である。


そして、それは私がちょうど説明しようとしたことに関係する。

ある物体が別の物体に影響を与えるその力を正しく判定するためには、

 あなたは、この力がまず第一に引きつける物体の質量に、
  さらに引きつけられる物体のそれ(質量)に比例し、
   そして最後にそれらの距離の二乗に逆比例する、

    ということを認めさえすればよい。


この結果、地球と他の惑星は同様に恒星に引きつけられるが、

 その力は桁外れの距離にために感知不可能であることは明らかである。

それゆえに、同じ距離で、太陽の質量に等しい恒星を仮定すると、

 地球は太陽へ向かうのと同様の巨大な力でそれに向けて引かれるだろう。


しかし、恒星の距離が、太陽のそれより400,000倍も大きいので、
 この数の二乗は160,000,000,000であり、
  われわれの地球に作用する力は
   太陽のそれの160,000,000,000倍小さいのである。


さらにその結果、余りに微弱なために、なんら知覚可能な効果は起きないのである。


この理由から、恒星の引力(
attractiveの力は地球の運動に全く影響しないばかりか、
 惑星や月へのそれ(運動)へも影響しない。


しかし、その(太陽の質量に等しい恒星の)質量が各惑星の質量の何千倍を超えるので、

 それ(引力)は主にそれら(各惑星)の運動を制する太陽のそれ(引力)である。

しかしながら、2つの惑星が接近するとき、

 それらの距離が太陽との距離よりも小さくなるので、

  それらの引力は増加し、それらの運動を乱すため、十分知覚可能になるだろう。


そのような乱れは、事実、観測されてきた。


そして万有引力の仮説の否応ない証拠となる。


従って、ほうき星が惑星のかなり近くに接近するとき、
 この後者の運動は正にそれによりかなり影響されるだろう。

     
1760年9月13日

 

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