• Georg Simon Ohm 's 1827 paper

    ”ボルタの電気回路”   -29、30/40
    ( The Voltaic Circuit)

    29.前述の通り、ガルバーニ(回路)の電流は、回路のあらゆる場所で等しい強さであり、
    さらに、 の値から生じ、
    方程式
     
    から導出される。

    22、23節で与えられる方程式から始めるなら、この状況はもはや起こらない。

    これらの事例全てにおいて、  はxに依存しており、
    それは、電流強度が回路のさまざまな場所で異なるということを示す。

    故に、それが恒久的状態(安定状態)になり、且つ回路が大気による影響を受けないとき、
    電流は回路のあらゆる点で同じ強度である、
    と結論してよい。

    その上、この特性は、
    大気がボルタの回路に知覚可能な影響を及ぼすかどうかとは無関係に
    実験により、明らかに発見できる。
    (一部略)
    次に12節によれば、電流強度はこの方程式
     
    により与えられる。
    個々の事例において、検電力の決定のために発見した方程式から  の値を得る必要があり、
    そして前の式にそれを置きかえればよい。

    かくして、恒久的状態(安定状態)となった場合の回路で、
    22節により、周囲の大気が大した影響も及ぼさない場合、
     
    となり、ここで、aは励起点の電圧を、bは励起点の両側に直接隣接する(部分の)検電力の総和を表わす。

    これより
     
    を得る。

    この式は回路の各地点の電流強度を与える。

    しかし、回路のさまざまな場所で、電流の変化が生じることにより、
    この法則は、つぎの方法でもっと簡単に知ることが出来るだろう。

    例えば、次の方程式
      を(xについて)微分すると、
    次の方程式
      を得る。

    さらに両者をかけると
       を得る。

    次に をその値 で置き換えると、
    方程式 を得て、   を得る。

    そして、その結果、積分することにより
     
    を得る。
    ここでcは定数を表わす。

    uが回路の外周内で占有する最小の絶対値をu1’で、そのときSと一致する値をS’で表わし、
    これにより定数cを決定するなら、
     
    を得る。

    この方程式から次のことが容易に引き出されるだろう。

    大気の影響を受ける回路の電流は、
    その符号に関わらず、検電力が最小となる場所で最も弱くなるということ、
    さらに、等価で、(符号が)反対の検電力を伴う場所では同じ強度である、
    ということである。


             
              ガルバーニ回路の化学的なパワーについて

    30.本論文では、電流の影響下にある物体は、ずっと変化しないと常に仮定してきた。

    しかしながら、
    次に、電流の影響を受ける物体における、電流の作用を考慮に入れ、
    さらに、電流の変化そのものが化学反応により生じたように、
    なにかの原因で生じる化学的な構造の変化をも考慮してみたい。

    確かな基盤上で(話を)進めるために、1〜7節で述べてきたことに戻ろう。

    そして、それらの方程式と(今後の)展開に、現在の考え方を関連付けしてみよう。

    ここで2つの粒子を仮定し、
    それらの互いの距離をs、それらの検電力をuとu’で表わすとしよう。

    そして、同じ粒子の上では、どこでもその強度は同じである。

    そのとき、これまでに述べてきたことから容易にわかることは、
    これらの2つの素子間の反発力は、
    時間dt、uu’の積、2つの粒子の位置、大きさ、形に依存する関数に比例する、
    ということであり、それをF’とする。

    これより、式が2つの粒子間の反発力として得られる。

    これより6節と同様の方法で進めるものとする。

    2つの素子の位置の間の瞬間の作用をχ’、
    完全に決められた環境下で、両者間に生じる力をq’、距離をs’、
    それらの積を、即ち、χ’=q’・s’とする。

    次に、
    式 において、u=u’=1とおき、
    さらに、単位時間での作用を考えることにより、q’を決定すると、
    χ’=F’・s’を得て、これより、2つの素子間の反発力はとなる。

    次に、11節で行ったように
    均等に大きく分割することができる角柱状回路と
    M’、M、M1と呼ばれる無限に薄いディスク(円盤)
    −それらは直につながっており、横軸x+dx、x、x−dx上にある−
    を考えよう。

    そのとき、正にこれまでに示してきたことにより、
    ディスクM’がディスクM上に及ぼす圧力はである。

    そして、全ディスクにおける粒子の位置、大きさ、粒子の形が同じであるとすると、
    ディスクM1がディスクMに及ぼす抵抗圧は  である。

    これら2つの式の差は、即ち、
     
    であり、よって、ディスクMが回路の軸に沿って移動しようとする力の大きさを与える。

    その値が+のとき、この力は横軸方向と反対に作用し、またその値が−のとき、横軸方向に作用する。

    ここでu’−u の代わりに、
    u’とu1に対して11節で与えられた展開から生じるその値を代入すると、
    上の式はまさに次のように変わる。
      
    さらに、個々の物体の性質に依存する関数F’に値  を代入すると、
    s’は明らかにここでdxであるから、この式は、
        
    に変わる。

    一方、瞬間の作用χ’を縮小し、
    断面ωの大きさを単位表面として考え、また同時に単位時間当たりの作用を考えると、
     
    となる。

    ここで、現在の ’は表面の単位を縮小した瞬間の作用の大きさを表わす。

    この文字を式で表すと、
     
    のようになる。

    χは回路の絶対的伝導力を意味する。

    さらに、12節の方程式(b)に従い、を置き換えると、
    電流の大きさは、そのために選択された符号S、 の代わりにiとすると、
     2iuS に変わる。

    ゆえに、回路内の個々のディスクが移動しようとする力は、
    それら固有の検電力と電流の強度に比例するのであり、
    さらに、
    電気がある状態から逆の状態へ変化する回路のその場所で
    この力がその方向を変える、
    ということが分かる。

    そして、ここで、見落としてはならない状況が発生する。

    即ち、
    たとえ、素子Mの検電力uが、
    何らかの異常なU内の原因により、作用の瞬間に変化させられるときでも、
    隣接する粒子の検電力が変わらないかぎり、この式はまだ保たれる。

    この場合のみ、Uの値を式 2iuS のuに代入しなければならない。

    この式 2iuS が、
    断面ωの全範囲に関係することもまた観測されるはずである。

    そして、それは、特に期待する回路のその部分にある。

    ここで、回路の運動の力を単位表面に縮小するときは、
    断面の大きさωでその式を割らねばならない。

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