私は、月ほども離れた場所に置かれた物体は重さを1/3600(*1)に減らされる、
言い換えれば、地球表面よりも3600倍小さな力で地球の中心に向けられる、
と述べた。
しかしながら、もしそれをもはや支えるものがないならば、
この力は地球へ下降させるのに十分な力である。
われわれはそのような高度へ上昇するための手段を持たないので、
いかなる実験によってもこれを証明するのは不可能である、
というのは真実である。
しかしながら、その高さには−月という物体がある。
故に、月は引力(gravity:重力)のこの影響を受けているはずであり、
それでも、月が地球に落ちてこないことをわれわれは知っている。
これに対し、私は、もし月が静止していたなら、月は確実に落下するだろう、と答える。
しかし、月に伴う急速な運動が月の落下を妨げている。
この答えの堅実さを証明する実験がある。
手から落とされた1つの石は、それを強制させる動きも無く、垂直線の方向に直ちに落下する。
しかし、もしあなたがこの石を投げたなら、
その方向以外へ向かわせる運動をさせられつつ、
それは下方向へ直ちには落ちないが、地上へ到達する前に、曲線運動をする。
そして、これ(曲線運動)はそれ(石)に強いられる速度と比例してより目立つかもしれない。
水平方向に発射された大砲の弾丸は、相当な距離を飛ぶまでは地球へと落ちてこない。
そして、高い山の頂上から発射されたばあい、
それが地面に到達する前に、おそらく数マイル飛ぶだろう。
もし、大砲の方向がもっと上側に向かい、
さらに火薬の量と強さが増やされたならば、
砲弾はさらにもっと遠くへ運ばれるだろう。
これは非常に遠くへ運ばれるので、それが反対側へ到達するには、砲弾は軽くてはだめである。
否、さらに遠くへ飛ばしたなら、
それは全く落ちることはなく、それを打ち出した場所へ戻ってくる。
そして、地球の周りを新たに回り出すだろう。
それは本物の月のように地球を回る小さな月のごとくであろう。
ここで、あなたは月の高度と月の運動に伴う桁外れの速度についての考えを気に入るだろう。
そして、たとえ引力によりその中心へ向かわされているとしても、
月が地球に落ちないことに、あなたはもはや驚くことはないだろう。
さらに日の下に明かされるもう一つの考えがある。
われわれは投ぜられた石や斜めに撃たれた大砲の弾により描かれる経路を考えさえすればよい。

それは常に付図(Fig32)に示したように
1つの曲線を描く。
Aは大砲の弾が発射された山の頂上であり、
AEFBの方向に運動した後、
地面のB点に落下するとしよう。
そして、それが描く経路は1つの曲線である。
私は、もし弾丸が重くなければ、
即ち、もし引力の力により地球に向けられないならば、
引力が唯一の降下の原因であるために、
たとえ自身を残そうとしてもそれは落下しないだろう、と述べた。
まして、図に示したようにAで発射されて、それが地面に落下しないなどということはない。
この結果、曲線AEFBを描いた後、
地面へ斜め後方に落ちるのが引力(gravity:重力)であることをわれわれは知る。
それゆえに、引力(gravity:重力)はその経路を曲線AEFBをとるように指示する。
そして、もしそれが引力(gravity:重力)を欠いたなら、
砲弾は曲線を描かず、それが放たれた方向である直線ACへ向かって進むだろう。
そこにあって、確かに直線運動しない月に注意しよう。
月は常にわれわれからほとんど同じ距離を維持しているので、
その経路は必然的に曲線でなければならない。
即ち、その曲線は、ほとんど月の距離に等しい直径で、あなたが地球を周りを描く円である。
それはなぜ月が直線運動しないのか?と質問することは、非常に合理的である。
しかし、回答は明らかである。
つまり、引力(gravity:重力)は、
投げられた石や発射された大砲の砲弾により続けられる曲がった経路の原因となるので、
(運動を)維持するためのよい根拠となる。
即ち、月を地球に向かわせながら、引力(gravity:重力)はさらに月に作用する。
つまり、この引力(gravity:重力)がまた月の軌道の曲線方向の原因となっている。
そのとき、月は一定の重さを持っている。−結果として月は地球に向かわされる
しかし、この重さは地球表面の引力の1/3600(*1)倍以下である。
これは単に可能な推測というだけでなく、証明された真実である。
この引力(gravity:重力)を仮定することで、
われわれは最も立証された数学的な原理で
月が辿らねばならない経路を決定することが可能である。
そして、これは、実際に月が運動する経路に一致することを完璧に見出す。
そして、これはこの主張が真実である完全な証明である。
1760年9月1日
訳注:(*1)手紙50で述べた通り約1/6
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