幾何学の私の授業を自ら殿下にお伝えするという名誉をいただくという希望は、ますます遠退いており、わたしには全くもってあまりに残念であります。私は、自然の問題が許す限り、手紙による個人的な指導をご提示するべく思っております。
万物の秩序の中で実際に発見可能な物質の最大と同様、
例えば、最小の広がりを生み出す<大きさ>の正しい考え方をまとめるため、
あなたに(この手紙で)助力することにより、私は自分の企てに着手する。
第一に、感覚的に明らかな、ある1つの決まった尺度の分割について、
さらに、例えば1フィートの分割という正しい知識を持つことについて、
われわれが決定することが必要なのである。
この一度認められ、且つ見慣れた量は、
長さ、大または小のようなあらゆる他の量に関する知識を作りあげることを
われわれに可能にするだろう。
前者は、それが何フィートを含むのかという本質を見極めることにより、
そして後者は、1フィートのどの部分がそれを測定するのか
という本質を見極めることによる。
1フィート(0.3048m)の知識を持つためには、
われわれは、インチと呼ばれるその1/2、その1/4、
その1/12の部分(1フィート=12インチ、1インチ=2.54cm)の知識を、
その1/100やほとんど目に見えない非常に小さなその1/1000の部分の知識を
持つことである。
しかし、1フィートのこの最後の分割(1/1000)よりもさらに大きく拡大でき、
どんなに血液が循環することにより一部が造られていようとも、
それは生物ではないということ、
さらに、それらがわれわれと比較されるのと同様に、
それらと比較されるような小さな他の生物をも含むこと
が留意されるべきである。
その結果、想像を超える小さな生物が存在し、
そしてそれらが想像もつかないほどより小さな部分にさらに分割可能である、
と結論されるかもしれない。
このように、例えば、われわれと比べて、
1フィートの1/10000は見るには余りにも小さすぎて、
感覚の対象である香を焚くようなものであるが、
それにもかかわらず、それは大きさではある完全な生物を超える。
そして、知覚の能力を授けられたそれらの生物のあるものには、極端に大きく見えるにちがいない。
であるから、知力が及ばないものをたどることで、
これらの微小な量から最大の大きさの量までの変化がわれわれにもたらされるだろう。
あなたは1マイル(1609m)という知識を持っている。
この場所(訳注:ドイツのベルリン)からマグデブルグまでの距離は
83イギリスマイル(1609m/mile×83mile=133547m≒133.55km)であると計算される。
1マイルは5280フィート(0.3048m/feet×5280feet=1609.344m≒1.61km)に等しく、
そしてわれわれは、われわれの計算において、
もし1マイルの代わりにフィートを使用した場合に起きるはずの
想像もつかない大きさの量を避けるために、
地球のさまざまな地域の距離の計測をする場合にマイルを使用する。
それから、1マイルは5280フィートに等しく、
マグデブルグがベルリンから83マイル(133.55km)であると言われるとき、
その考えは、これらの2つの都市の距離が43,824フィートあるといわれる場合よりも
非常に明確である。
あまりに大きな量は、理解を圧倒する。
また、地球の円周が約25、020マイル(1.61km/mile×25,020mile=40,282km)である
といわれるとき、
われわれは地球の大きさについてかなり正しい知識を持っているのである。
そして中心を通る直線であり、
既に認められた地球の形状である球体の表面の正反対の方向で終わる直径は、
われわれがそれに球体(地球)と名付ける理由から
−この地球の直径は7964マイル(1.61km/mile×7,964mile=12,822km)である
と計算される。
また、これは、われわれが天空で見出す最大の距離を決定するために用いる寸法である。
数ある天空の物体の中で、地球の直径の約30倍だけの距離で、
240,000マイル(1.61km×240,000mile=386,400km)
または1,238,400,000フィートにある月はわれわれに最も近い。
しかし、地球の直径の30倍という最初の計算は、最も明らかな知識である。
太陽は月よりもずっと遠く、月とわれわれの距離の約400倍である。
(訳注:オイラーが示した天体までの距離一覧)

また、われわれがかの距離が地球の直径の9000倍であるという場合、
もしそれがマイルまたはフィートで表現される以上に、
われわれはもっとより明らかな知識を有するのである。
地球は1年間で太陽を周回する回転運動を行うが、
太陽は固定されているわけではないことをあなたは知っている。
地球のほかに、10個の似たような太陽の周りを回る惑星と呼ばれる天体がある。
距離の小さい惑星のうち2つは、彗星と金星である。
距離の大きな8個は、即ち、
マーズ(火星)、セレス(第1小惑星)、パラス(第2小惑星)、ジュノー(第3小惑星)、
ベスタ(第4小惑星)、ジュピター(木星)、サターン(土星)、ゲオルギウス サイダス
である。
われわれが目にする他の全ての星は、彗星を例外として、恒星と呼ばれている。
また、われわれからそれらまでの距離は、
太陽の距離とは比較できないほど巨大である。
これらの天体のあるものは他よりもより大きく見えるため、
それらの距離は全く同じではない事に疑う余地はない。
しかし、それらのうち最も近いものは、
疑いなく太陽よりも遠く5,000倍以上の距離にある。
よって、われわれからのその距離は
地球の直径の45、000、000倍、
つまり356、050、000、000マイルを超える。
そして繰り返すが、
5,280を掛けた値はフィートで表わしたら桁外れの距離となるだろう。
そして、これは結局のところ、
われわれに最も近いこれらの恒星に限っての距離である。
われわれが目にする最も遠方のものは、おそらく更に100倍も遠い。
同時に、互いに引き合う全てのこれらの星は、
全宇宙のほんの小さな部分を構成するにすぎず、
相対的には、これらの桁外れの距離は
地球と比べた砂粒よりも大きくは無い、
といえるのである。
この広大さは、最も大きい天体と最も小さい天体を支配する全能の神の技なのである。
1760年4月19日 ベルリンにて
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