Device for flying a coin/1円玉飛ばし装置の原理と実験

(1)コインに流れる電流
 コイルには高い直流電圧が印加され、同時に直流電流が瞬時に流れる。その波形が方形波ならば計算は容易だが、現実にはそうはならない。ここでは計算しやすくするために、発生する磁束φをsin波とし、正電圧である0〜T/2までの半周期が印加されるとする。(T:周期)
このとき、磁束φは


で表わされる。

 
 コインに磁束が貫通して渦電流が発生する様子が図4.3.1である。このとき、コインの断面を図4.3.2のように切り出し、中心を通る磁束φにより矢印で示した金属部分に起電力が生じると考える。
a×2x の半分を通る磁束φは

で表わされる。
 このときの起電力?凾?は磁束の時間変化で表わされるので、

よって、


となる。

次に導体の抵抗率をρとおくと、導体?凅×aにの部分の抵抗?决は

よって、導体?凅×aに流れる電流?冓’は

となる。
一辺r の正方形全面に流れる電流を求めるため、?凅 について0〜d/2まで積分すると

ここで、

を代入して、

となる。
次に、0≦t≦T/2について積分する。まず三角関数部分を積分して、

よって、一辺r の正方形全面に流れる電流i は

となる。
 ここで、一辺rの正方形に内接する円とほぼ等価とみて、この値をコインに適用してみる。
a=d=20[mm]、ℓ=1[mm]、アルミの抵抗率はρ=2.65exp−8[Ωm]、
コイルの中心の磁束密度BL[T]=1.079exp−2[T]から、


(2)コインの表面の磁場の強さ
 1円玉は、直径20[mm]、厚さ1.5[mm]である。よって、φ1.5の電線なら、巻数は
巻数=1円玉の半径/銅線の直径 より
 N = 10/1.5=6.67
となる。φ1.5電線の約7回巻き相当と考えて
 N=7 とおく。
 螺旋コイルの中心により生じる磁場の磁束密度Bcは

で表わされる。(注1)
 αはビオ・サバールの公式における角度と同じである。螺旋コイルの中心では発散してしまうので、
α=89.9°としてexcelで計算すると、
  
よって、磁荷mc[wb]は
  
となる。


(3)反発力の式とその値
 したがって、コインとコイルの間の距離をr=0.3[mm](注2)とすると、磁荷mL、mcによる反発力fは


 ここで、反発力fは磁荷mL、mc間の距離rの二乗に反比例するのでrの値が小さいほどfが大きくなることは容易に想像できる。
実験では1mm以下になるよう工夫することが重要である。


(注1)螺旋コイルの中心磁場Hの計算は、大学の理工系学部の演習問題によく出てくる。グーデルマン関数で表わす場合もある。
(注2)コイルの製作に使用したクリアファイル(厚さ約0.25[mm])とセメダイン分を加えてr=0.3[mm]とした。

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