Mars Report by "NASA"/2018.06.13

             
     ”NASA、自然科学上、完全な嵐に遭遇


ニュース|2018年6/13

NASA、自然科学上、完全な嵐に遭遇
 


 NASAの火星リコネッサンス・オービター(周回軌道多目的探査機)からのこの一連の画像は、激しい砂嵐が
火星上に起きていることを示している。ローバーは表面にアイコンで示してある。


 この一連の画像は、NASAのオポチュニティのローバーの視点から、太陽を点として暗くなっていく火星の空の模擬的な眺めを示したもので、広大な砂嵐内のオポチュニティの現在の視界を右へとシミュレーションしている。

注)オポチュニティは2003年に打ち上げられた。搭載されたローバーの活動期間は90日の予定だったが、既に15年活動を続けている。


 かつて火星で観測されたことのない最も厚い砂嵐が1週間半に渡り拡大してきている。
この砂嵐は、結果的にNASAのオポチュニティ・ローバーの科学上の運用を停止させることとなったが、4つ別の宇宙船にとっては、渦巻く砂を知る手掛かりとなる最適な時間でもある。


 NASAには赤い惑星を回る3つのオービター(人工衛星)がある。加えて、それぞれは特殊なカメラと他の大気分析装置を備えている。NASAのキュリオシテイ・ローバーはゲール・クレーター内のその場所で砂の増大を監視してきた。

 “これは火星の自然科学上、典型的な嵐だ“ とワシントンの政府機関の本部、NASAの火星探査プログラム・ディレクターJim Watzinは語る。“われわれは赤い惑星で活動する歴史に残る数の宇宙船を有する。
それぞれが、どのようにして嵐が発生し振舞うか−将来のロボットと人間の任務に必須となるであろう知識−を独自の調査から提供してくれるのだ。“



 ゲール・クレーター内の多量の砂を計測するために特別に手に入れた、NASAのキュリオシティ・ローバーからのこれらの2つの風景は、砂が大きな火星の砂嵐により3日に渡り増大したことを示している。

砂嵐は全季節に発生する火星によくある特徴である。時折、それらは数日の内に局所的な嵐の中で膨張するこtがあり、時には惑星を覆い隠すまで拡大する。これらの広範囲に及ぶ惑星規模の嵐は約3〜4火星年(6〜8地球年)毎に起きていたと判断されている。最後のそれは2007年であった。それらは最長で数週間もしくは数カ月続く可能性がある。

 オポチュニティ上の現在の嵐は、それは今も成長しているが、今や火星表面の14百万平方マイル(35百万km2)を覆っている。それは火星表面の約1/4である。


注)火星の表面積は約144,800,000 km2である。よって約24%が砂嵐状態。

 

 あらゆる砂の現象が、その大きさに関係なく、火星の表面で次々と起こっている。
それらの物理学的特性を研究することは、古代と現代の火星の気候を理解するために重要である。
とカリフォルニア、パサデナのNASAのジェット推進研究所で火星プログラム・オフィスの主任科学者、Rich Zurekは語った。


“これらの巨大な嵐の個々の観測は、この現象のモデル化をより可能にしてくれる。
−そして、いつか予報することを可能にするだろう。“とZurekは語った。
“それは地球におけるエルニーニョ現象、または接近するハリケーンの季節の重大性を予報するのに似ている”

 厚い大気が、地球上で直面するいかなるものとも異なる広大なこれらの嵐を作る。
“The Martian,(火星の人)”のドラマ(映画)とは無関係に、例えそれらが大気中で砂の粒子を吹き付けようが、火星上で直面する最も強力な地表の風が宇宙船をぐらつかせることは無いだろう。


 
この図表は2018年5月30日に始まった火星の砂嵐の間の、NASAのローバーとオービターの継続中の貢献度を示す。

 

[チームワーク]

 火星では、NASAの宇宙船“家族”のメンバーは互いによく助け合う。
政府機関のオービター(衛星)は定期的にNASAのローバーから地球へデータを中継する。
オービターとローバーは、互いにそれらの科学技術を補完させることで、火星の地形の異なった眺望をも提供してくれる。

火星リコネッサンス・オービター(周回軌道多目的探査機)には、最近の嵐のような天候現象に対する早期警戒システムとして動作する特別な役割がある。
それは、火星カラー撮像装置と呼ばれるオービター(人工衛星)の広角度カメラであり、嵐についてのヘッドアップ(注意喚起)をオポチュニティ・チームに提供する。
この撮像装置はサンディエゴのマリン・スペース・サイエンス・システムズ社により組立、運用された。
それは、いかにして嵐が発生するのかを追跡することで、日々の惑星の広大な地図を作ることができる。
だが、ここ地球のハリケーンを追跡する気象衛星とは異なる。


 NASAの2つの別のオービター(人工衛星)−2001マーズ・オデッセイとMAVEN(火星の大気とガスの発生)−は、独自の科学的な目的をも備えている。
オデッセイはその下の多量の砂を計測可能なTHEMIS(熱放射画像化システム)と呼ばれる赤外線カメラを有する。MAVENは上層大気の動きと宇宙へのガスの喪失を研究するために設計されている。

自然科学は当然だが、うまい具合に地上に生じる。
発生する砂嵐とは惑星の反対側にあるにも関わらず、NASAのキュリオシティ・ローバーは嵐の間に太陽光を消失する砂埃の霞の計測で、増大した“タウ値”を検出し始めている。
6月12日(火)同様に、ゲイル・クレーター内のタウ値は1.0〜2.0の間で変化していた。
−それは砂嵐の時期の間の平均である。これらのレベルは通常この時期ではもっと後に現われるのだが。

 幸いにも、キュリオシティは原子力電池を有する。それは太陽電池のオポチュニティと同様の危険には直面しないということを意味する。


  

 火星のNASAのオポチュニティ・ローバーの有効なエネルギーが、どのくらいかを(Wh:ワットアワーで)示しており、その値は、(タウと名付けられた値を測定される)大気がどの程度晴れているのか、それとも不透明なのかに依存する。タウ値(青)が高いとき、ローバーのパワーレベル(黄)は落ちている。

[次の巨大嵐は?]


 この嵐は火星全体を完全に覆うことは決してないのだが、
2007年から、火星の科学者らは惑星を包囲する砂現象−むしろ正確には“巨大な”砂嵐と呼ばれる−を辛抱強く待ってきた。1971年に、これらの嵐の一つが、砂上に突き出している火星のタルシス火山の正に頂上を通り過ぎつつ、接近してきた。最近の砂嵐はこれまで火星の北半球で観測されている、とマリン・スペース・サイエンス・システムズ社の火星カラー撮像装置の主任研究員の代表ブルース・キャンターは語った。
だが、誰かが嵐が惑星を囲んでいるかどうかを語るまで、それは数日以上かかるだろう。

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