引力または重さは物体の性質には欠くべからざるものに思えるので、
この性質を奪われた物体についての考えを形成することはほとんど不可能である。
そして、その影響は、物体へのあらゆるわれわれの作用において、あまりに普遍的なので、
われわれは常にその引力または重さに注意を払わねばならない。
われわれ自身の身体に関して、われわれが立ったり、座ったりしようと、また横になろうと、
われわれは継続的に自身の体の引力の影響を感じている。
もし体が、この力を与えられた全てのその部分と同様でなかったら、
われわれは決して落ちないだろう。
言語そのものは物体の特性によって制限される。
われわれが低いと称する、物体が下降の傾向をもつ方向の場所と、
われわれが高いと称する、物体から反対の方向である。
下降時に物体が全く自由である場合、
下向きであるはずのその方向を追跡すると、それは常に直線で下降する、
ということに気づくはずである。
この線(道筋)は同様に、常に高から低へ引かれる直線を意味する言葉で、垂直と呼ばれる。
そして、もしわれわれが上向きに延長されるこの線を想像するならば、
それが天に到達するまで、われわれはわれらの天におけるその場所を天頂
−アラビアの言葉、われわれの頭上に直にある点の場所を意味する−
と呼ぶ。
そのときあなたは、もはや何の支持もないとき、
垂直線は物体が落ちるときのその直線であることを理解する。
あなたがあらゆる物体に糸をつけ、すばやく他の端を持つとき、
即ち、その糸が直線状に伸び、糸は垂直になるだろう。
フリーメイソンは、
かれらが命じる、壁の垂直の方向へ向く、
彼らが下げ振り糸(プラミット)と呼ぶ、
一方の端に鉛の玉をつけた小さな電線を使う。
というのは、これら固体であるべきものは垂直でなければならないからだ。
家の床全てが非常に平らなら、垂直線はそれら(床)に対し直角をなすだろう。
この場合、床は水平であるといわれる。
そしてあなたは水平面が常に垂直線と直角をなすことを喜んで思い出すだろう。
あなたが、山でないものに境界を接した完全な水平面に居るとき、
その先端は水平線−ギリシャ語、景色の境界を意味する−と呼ばれる。
そして、そのときこの平面はまさに湖の表面のような水平な面を表す。
さらにわれわれは何が水平なのかを表現する別の言葉を用いる。
われわれはそのような表面または線は平らであるという。
これらの2点を通る直線が水平であるとき、垂直または測沿線がそれと直角となるはずだ。
しかしこれらの点を通って引かれる直線が水平でないとき、2つの点は水平面上にはない。
つまり、そのときそれらの一方は他よりも上方にある。
これは川の場合である。
それらの表面は下り坂となっている。
それが水平ならば、川は淀みとなり、もはや流れ下ることはない、
ところが、全ての川は下りの方へ向かって流れ続ける。
2点が同じ高さにあるかどうか、
またはどちらが高いのかまたどれだけの量なのかを確かめるための器具がある。
この器具は水準器と呼ばれ、その応用は測量技術と呼ばれる。
あなたが、ベルリンのあなたのアパートメント内のある場所から、
マグデブルグのあなたのアパートメメントの決まった点へ、直線を引いたなら、
あなたは、そのような器具により、
この線が水平なのかどうか、またこれらの場所が他よりも多少上なのかどうか
を確かめることが可能である。
私は、ベルリンの場所がマルデブルグのそれよりも上にあるだろうと思う。
そして、私はスプリ−川、ハーベル川、エルベ川の水路にこの考えを見出した。
スプリー川がハーベル川に流れ込むので、当然、それ(スプリー川)は高くなければならない。
そして同じ理由で、エルベ川はハーベル川よりもっと低くなければならない。
それゆえに、あなたが地面から等しい高度で2点を比較したとすれば、
ベルリンはマルデブルグより高い場所にある。
というのは、ベルリンの舗装道路からマルデブルグの丸天井の上の頂点へ直線を引いたなら、
即ち、線はおそらく水平になるだろう。
それ故に、水を導くことに関わるとき、
水平にする技術がいかに有用かをあなたは知る。
水は高いほうから低い場所へのみ流れるので、
運河を掘る前に、
その先端の一方は他よりも高くなければならない、
ということをあなたは十分に確信するに違いない。
そして、これは水平を取ることで見出される。
都市の建築では、道路は非常に適切に配置されねばならない。
というのは、片側に下り坂になっていると、水は流れないからだ。
その一方で、家の構造では、床は完全に水平であるべきで、
さらに最小の下り傾斜もないことである。
なぜなら、ゆるやかな下り傾斜をもって建てられた厩舎の床以外に、排出すべき水はないからだ。
天文学者は
天の真の水平線と一致するように
かれらの観測所の床を完全に水平にするため大いに苦労する。
上へ延長したその垂直線は天頂に印しする。
1760年8月27日