自然哲学の諸問題についてのドイツ王女へのオイラーの手紙

 

私は、単純な音楽的な音を聞く場合、

われわれの耳は、互いに同じ距離で、決まった時間の間に、

低音と高音の間に存在する差異を構成する周波数と大きさの連続した打音で鳴らされる、

という自分の所見を述べ続ける。


ゆえに、一定の時間、いわゆる1秒内に生み出される振動または打音数が小さければ小さいほど、

われわれはその音をより低く推測する。


そして、そのような振動数が大きければ大きいほど、音はより高い。

それ故に、簡単な音楽的な音の知覚は、・・・・・・・・・のような
 互いに等距離な連続した点と比較できる。


もしこれらの点の間隔がより大きいかまたはより小さいならば、
 生じる音はより低いかまたはより高いだろう。


簡単な音の知覚は、互いに等距離の連続した点に多少似ているか、

または類似していることは、疑いえないのである。


われわれは、耳が音を聞いて知覚することを、

このように目に見えるように表現することが可能である。


もし点間の距離が等しくないか、点が乱雑でばらばらならば、

それらは乱雑な雑音の表現、不調和な和声となるだろう。


これを主張するにあたり、

直ちに放出された2つの音が何の作用により耳に生じることになるのか、

を考えてみよう。


第一に、もし2つの音が等しいか、またはそれぞれが同時に同じ振動数で音を出すならば、

耳は一つの音によるのとまったく同じ方法で影響を受けるであろう、

ということは明らかである。


そして、音楽において、これらの2つの音はもっとも簡単な和音である
 ユニゾン(同音)といわれる。


和音という言葉は直ちに聞こえる2つまたはそれ以上の音の混合を意味する。


しかし、もし2つの音が低さと高さという点で異なるならば、

間隔がそれら自身の間で等しいか、一方のほうが他方よりも大きい場合、

われわれは連続する2つの打音の混合に気がつくだろう。


つまり、より低い音と一致する間隔が大きければ大きいほど、

またより高い音と一致する間隔が小さければ小さいほど。


この混合、または2つの音のこの和声は

ABCDの2つの線で配置された2つの連続する点により、

目に見えるよう表現できる。

 

 そして、これらの2つの連続という正しい考えを形成するために、

われわれは、それらの間に存在する秩序についての、

言い換えれば、1つの行の間隔と他方の行の間隔の間の関係についての、

明確な認識をもたねばならない。


各行の点にNo.1とNo.1以降の番号と目印を付けると、

図の2また印をつけた3も、これらは正確には一致しないであろう。


しかし、われわれはNo.11、正確にはNo.12の上に発見する。


われわれは、より高い音は12の振動を行い、その他は11だけであることを発見する。


もしわれわれが図を添付しなかったら、目でこの規則を確認することは困難であっただろう。


多大な困難を伴いつつも、私が2行の点により表わした2つの音の中でそれを追いかけたことは、

耳で聞くのと同じである。

しかし、次の図において、


 


あなたは、上の行が下よりも2倍多くの点を含むこと、

または下の行の間隔が上のそれらよりも2倍大きいことを

一見して発見するだろう。


これはおそらく、あなたがこれらの2つ連続した点の間に存在する規則を直ちに発見できる、

あらゆる場合で最も簡単なユニゾン(和音)に次ぐものである。


そして、同じことが、これらの点の2つの行で表わされる2つの音に関して保たれる。


一方に含まれる振動数は、正確に、他方に含まれる振動の2倍であろう。


そして聴覚は、容易にこれら2つの音の心地よい関係を認めるであろう。


ところが、先の場合に反して、

不可能でないにしても、識別することは非常に困難であった。


聴覚が2つの音の間に存在する関係を容易に気がつくとき、

それらの和音はコンソナンス(協和音)と呼ばれる。


そして、もしそれが非常に困難であるか、

この関係を捕らえるのが不可能ならば、この和音は不協和音と呼ばれる。


そのとき、もっとも単純な協和音は、高い音が正確に低い音の振動の2倍で発生する場合である。


この協和音は、音楽の専門用語でオクターブと呼ばれる。

−誰もがその意味を知っている。


そして、正確に1オクターブ異なる2つの音は、

あまりに完璧に調和し、且つそのような完璧な類似性を持つので、

音楽家は同じ文字でそれらを表わす。


そのため、教会音楽において女性は男性よりも1オクターブ高く歌うが、

彼女らは同じ音を口から発するのだということを想像してみよう。


ちょうど1オクターブ離れたあらゆる音の快適な和音を喜んで認めるとき、

あなたはハープシコードの鍵盤を弾くことによりこの真理を容易に確かめることが可能である。


ところが、他の2つの音はどうしても大して心地よくなく耳に聴こえるのである。


1760年4月29日

 

 

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